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日本災害情報学会シンポジウムで主体性を学ぶ

2019年5月11日(土)14:00~17:00 東京大学 福武ホール ラーニングシアター

日本災害情報学会20周年記念シンポジウムが東京大学を会場に開催されました。テーマは「防災における住民の主体性」です。防災の本質はまさに「主体性」であると日頃から実感しており、どのような発表や議論が行われるのか大いに期待して参加しました。このようなテーマでなければわざわざ休日に東京まで出向くことはなかったと思います。ではどうであったか。

大変素晴らしい内容でした。学会ではこれまでも繰り返し議論してきたテーマとのことですが、それでも新たな視点、多様な切り口で話が展開されました。

2018年12月に中央防災会議によって、「これまでの行政主導の取組を改善することにより防災対策を強化する」という方向性を根本的に見直し、住民が「自らの命は自らが守る」意識をもって自らの判断で避難行動をとり、行政はそれを全力で支援するという方向性が示されました。特に関西大学城下先生の以下の指摘が秀逸でした。

  • 講義の専門家が住民の主体性を高める努力をすることは可能なのか?
  • 「災害リスク」や「ハザードマップ」といった専門家によって作られたものを理解させようとする取り組みそのものが、すでに住民の主体性を奪ってはいないか?
  • 日常から啓発し、備えを求めるという点で、専門家がレールを敷いて、それを住民が従うという枠組みに、本質的には変化がないのではないか?
  • こうした専門家が敷いたレールに乗っている住民は、一般的には、受動的であると理解される
  • しかし、そうしたレールに乗ることを主体的に選択しているという見方もできる
  • 果たして「住民」が主体的でなければならないのか?
  • 目標が達成されれば、「誰が」主体的かどうかは、大きな問題ではないのでは?