本事業の核となるのは、単なる知識習得に留まらない「伝える力」の育成です。村上東中学校と神林中学校から参加してくれた生徒たちは、養成講座を通じて「伝える」と「伝わる」の違いを学び、ハザードマップの解説や避難行動について、ワークショップや模擬実習を重ねて習得しました
。当初は受け身だった生徒たちも、講師体験を通じて次第に主体性を発揮し、「自分の住む地域で学んだことを伝えたい」というリーダーとしての自覚を芽生えさせていきました 。
育成されたリーダーたちの実践の場は、学校の文化祭に加え、地域の区長会や防災士会といった「大人のコミュニティ」でした。中学生が講師としてマイクを握ることで、「孫や子の世代の話なら聞く」という心理的効果が働き、多くの地域住民が熱心に耳を傾ける結果となりました
。参加した大人たちからは「自分たちよりも知識がある」と感心する声が上がり、生徒たち自身も「人のために貢献したい」と自己肯定感を高めるなど、双方に多大な意識変容をもたらしています 。また、過去に豪雨被害を受けた小岩内集落への視察では、住民の生の声に触れ、防災活動の原点を学ぶ機会も設けられました 。
今年度の成果により、中学生による防災講座は、地域住民への啓発と青少年の人材育成の両面で極めて有効であることが実証されました 。今後は市内他校への水平展開や、多くの生徒が希望した場合のカリキュラム整備などが課題となりますが、地域全体で子供たちを育て、その子供たちが地域を守るというこの循環は、多くの地域にとって希望のモデルケースとなるはずです 。
